ギャンブル等依存症対策
ギャンブル等依存症の状況
- ギャンブル等にのめり込むことにより、日常生活や社会生活に支障が生じている状態をいいます。
- 平成29年度の全国調査では、0.8%(約70万人)の人がギャンブル等依存症が疑われるとされています。

出典: 各公営競技団体等のHP、レジャー白書2018、経済産業省「競輪・オートレースを巡る最近の状況について」より作成
【参考】日本の遊技場・公営競技等の市場規模
種類 | 市場規模 (2017年) |
遊技場(パチンコ、パチスロ) | 19兆5,400億円 |
中央競馬 | 2兆7,477億円 |
地方競馬 | 5,525億円 |
競輪 | 6,400億円 |
競艇 | 1兆2,378億円 |
オートレース | 660億円 |
(参考) 宝くじ | 7,870億円 |


国の対策
ギャンブル等依存症対策基本法
- 国は、ギャンブル等依存症対策を総合的かつ計画的に推進することにより、国民の健全な生活を確保し、安心して暮らすことのできる社会の実現することを目的に、平成30年にギャンブル等依存症対策基本法を制定し、以下の10の施策を定めました。
- 教育の振興等
- ギャンブル等依存症の予防等に資する事業の実施
- 医療提供体制の整備
- 相談支援等
- 社会復帰の支援
- 民間団体の活動に対する支援
- 連携協力体制の整備
- 人材の確保等
- 調査研究の推進等
- 実態調査
ギャンブル等依存症対策推進基本計画
- ギャンブル等依存症対策基本法に基づき、令和元年度から令和3年度までの対策の基本的な国の計画を平成31年4月に作成し施策を推進しています。
- 今後、都道府県も、「都道府県ギャンブル等依存症対策推進計画」を作成することが努力義務となっています。
- 依存症相談拠点及び治療拠点機関の整備を目指します。
- ギャンブル等依存症問題啓発週間における広報活動を実施します。
横浜市の対策
横浜市の依存症対策
- 横浜市では、「こころの健康相談センター」を中心に依存症対策についての相談先の紹介や正しい知識の普及等の対策を推進しています。
- 依存症の基礎知識等に関する、パンフレットやHPによる普及啓発
- アルコール・薬物・ギャンブル等依存症相談窓口の設置
- 依存症者の家族を対象として教室を実施
- 横浜版回復プログラム「WAI-Y」の実施
- 支援者向けの人材育成研修を実施
- 市精神保健福祉審議会依存症対策検討部会の開催

横浜市内の依存症専門医療機関
- 神奈川県では、依存症専門医療機関を選定しています。以下3つが横浜市内における医療機関です。
- 医療法人社団祐和会 大石クリニック
(アルコール健康障害、薬物依存症、ギャンブル等依存症) - 地方独立行政法人 神奈川県立病院機構神奈川県立精神医療センター
(アルコール健康障害、薬物依存症、ギャンブル等依存症) - 医療法人誠心会 神奈川病院 (アルコール健康障害)

横浜市の依存症対策に関する計画
- 横浜市の各種計画では、依存症対策に関する方針を定めています。
横浜市中期4か年計画 2018~2021
「政策32 暮らしを支えるセーフティネットの確保」
- アルコールや薬物、ギャンブル等の依存症対策として、当事者や家族からの相談体制の強化など総合的な対策を進めます。
よこはま保健医療プラン2018 (計画期間:2018~2023)
Ⅳ 主要な疾病(5疾病)ごとの切れ目のない保健医療連携体制の構築5精神疾患
- 依存症対策総合支援事業の実施や自殺対策基本法の改定など国等の動向も踏まえ、本市として具体的に施策を展開していきます。
- アルコールや薬物、ギャンブル等による依存症対策の強化を含めた「依存症対策総合支援事業」を実施します。
日本型IRにおける依存症対策
日本型IRにおける依存症対策の規制
- 国は、日本型IRを実施する際に 「世界最高水準の規制」を定め、そのうちの一つにギャンブル等依存症対策も含まれ、重層的/多段階的な取組を制度的に整備しています。

具体的な依存症対策
- 国内のIR施設は上限3つに設定、ゲーミング区域の面積はIR施設床面積の3%以内
- カジノ事業等に関する広告物は、IR区域外では空港・港湾等の旅客ターミナルのうち外国人が入国手続きを完了するまでの部分に限定
- 20歳未満の者等への広告及び勧誘の規制
- 日本人等への7日間で3回迄、28日間で10回迄の入場制限
- マイナンバーカード等による本人・年齢確認
- 日本人等への24時間毎に6,000円の入場料
- カジノ内へのATMの設置禁止
- 入場者からの相談や判断の支援に関する体制整備
- 本人が申告することによる入場制限
- 本人以外の家族が申告することによる入場制限
先例を参考に日本にあった依存症対策を実施
- 2010年に2つの大規模なIR施設が設置されたシンガポールでは、設置前からギャンブル依存症対策を実施した結果、ギャンブル依存症の有病率が減少する傾向にあります。

シンガポールのギャンブル等依存症対策の状況
- 自ら申請をした者をカジノから排除する「自己排除」、家族によって申請をされた者の「家族排除」等が実施されています。
- 入場の際に写真付きIDの提示の義務付けられており、「排除」を確実に実施しています。
また、この「排除」は一定期間継続され、安易な解除ができず、解除後も引き続きフォローが行われるなど依存症対策の有効な手段の一つと考えられています。 - トレーニングされた従業員により、カジノ内だけでなく、その他のIR施設内で依存症が疑われる挙動不審な顧客などのモニタリングや声掛けを実施しています。また、カジノ施設内に相談窓口やパンフレットを配置し、24時間体制の電話やチャットによるヘルプラインを設置するなど顧客に対する支援を行っています。
横浜市の取組方針
横浜でIRを実現するため、国が定めた「世界最高水準の規制」といわれるIR整備法やギャンブル等依存症対策基本法に基づいた様々な懸念事項への取組を着実に実施します。
依存症対策への取組
特に依存症対策については、これまで国が示す依存症対策総合支援事業やアルコール健康障害対策基本法、ギャンブル等依存症対策基本法等に基づき事業を進めていますが、さらに、横浜市では依存症の方を増やさないように以下の4つの取組を徹底して進めていきます。
依存症への総合的な取組
予防教育の実施
ギャンブル等依存症になる前に防ぐ予防教育にも力を入れます。国の基本計画に基づき、高等学校において令和4年度より実施予定のギャンブル等依存症を含む依存症についての教育とともに、子ども・青少年やその保護者等に対しても予防に資する啓発を推進していきます。
事業者や研究・専門機関との研究
我が国においてどのような対策が合っているか等について、より効果的な対策や予防教育の検討を事業者や研究・専門機関とともに研究を進めていきます。
調査 による実態把握
市民等を対象とした調査を行うことで、横浜市のギャンブル等依存症の状況を把握、分析し取組を進めます。
また定期的に調査を行うことで取組の効果を検証します。
その他の懸念事項への取組
治安悪化への対策
- 24時間体制の警備スタッフの配置、厳格な体制の構築、防犯カメラの設置などにより、IR区域内の治安を守ります。
- 今後、警察と協議しながら、自治体、警察、事業者、周辺地域関係者等が連携して対策を行う枠組みを構築し、IR区域内だけでなく周辺地域の治安を向上させます。
- IR施設のデザインが周辺地域のイメージを高めるようなコンセプトとなるよう、事業者と整備計画を作成します。
反社会的勢力の関与への対策
- カジノを管理する委員会はカジノ事業者や従業員だけでなく、株主や取引業者も対象とする厳しい調査を行い反社会的勢力を徹底的に排除します。
- 暴力団員等に属するものはカジノへの入場も禁止されます。
青少年への悪影響対策
- 日本のIRでは、20歳未満のカジノ施設への入場が禁止されます。
また、入場時にマイナンバーカード等で厳格に年齢確認を行います。 - 20歳未満へのカジノに関する勧誘は禁止されており、カジノに関する広告は、日本国内において、IR区域外では空港内等の外国人が滞在する場所のみに限定されています。
加えて、広告には20歳未満が入場できない旨の明記が義務付けられています。
マネー・ローンダリング(犯罪資金洗浄)への対策
- 国際的な基準に基づき、一定額以上の換金等があった際に本人の確認や報告等を徹底し、犯罪に利用されない仕組みを作ります。
- カジノで使用されるチップの持ち出しや譲渡は禁止されます。